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筋ジストロフィー

筋線維が壊死再生をくりかえしながら進行する遺伝性(遺伝子に原因がある)ミオパチーの総称。 筋病理学的にグリコーゲンや脂肪の蓄積など特異的な所見を示さない。多くの「型」に分類される。臨床症状と遺伝子座、原因遺伝子産物により多数の疾患単位が確立されている。

デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー

Duchenne/Becker muscular dystrophy

原因:

ジストロフィン(dystrophin)の異常-----dystrophinopathy
ジストロフィン蛋白の欠損→デュシェンヌ型、ジストロフィンの異常および量的減少→ベッカー型
後者は前者より進行が遅い。臨床的には歩行不能年齢13歳以前、14歳以後で分けることが多い。
ジストロフィン遺伝子:Xp21。2.4Mbp。79エクソン。エクソン領域は14kbp。-----伴性劣性遺伝
ジストロフィン蛋白:骨格筋、心筋、脳に存在する427kD膜蛋白。

発生率:

男子出生10万人あたり33人といわれたが、第2次世界大戦以後減少しはじめ、現在は半分以下。発生率の減少は遺伝カウンセリングのためではなく、発症した男子同胞をもつ女性が社会的圧力のため患児をもたなくなったためであろうと考えられる。

症状:

1 近位筋優位の進行性の筋萎縮、筋力低下。ガワース徴候(Gowers’ sign)。
2 心筋障害。拡張性心筋症。
3 知能低下(正常から高度の知能障害まで様々 であるが、平均IQは80前後)。
ベッカー型はデュシェンヌ型と症状は類似し、軽症で進行が遅い。症状の程度は様々だがquadriceps myopathyや労作性ミオグロビン血症程度のこともある。

経過:

デュシェンヌ型は4-5歳で歩行異常、動揺歩行waddling gait、Gowers徴候、下腿偽性肥大。
平均10歳で歩行不能。自然経過では平均10歳代後半で死亡。
1980年代後半から呼吸管理を積極的に行うようになり、寿命は著しく延長。心不全管理法の進歩もあって現在では平均寿命は30歳を超えている。
かつて死因は肺胞低換気と呼吸器感染症で全体の3分の2をしめていた。現在は半分が心不全死。
  
ベッカー型は進行が遅く、個人差が大きく、心不全で死亡する率がより高い。
臨床的にデュシェンヌ型とベッカー型の境界線は歩行不能年齢14歳にひくことが多い。

診断:

典型的な初期の経過と高CK血症で本症を疑う。
遺伝子検査 MLPA法で72エクソン全体の欠失重複を検索(6−7割は診断可能)。保険適応。
MLPA法で診断できない場合以下の1)または2)
1)筋生検を行う。筋の壊死、再生、間質の増生を認め、ジストロフィンテスト(免疫組織化学)で確定。

2)遺伝子診断を別の方法で行う。→ 半定量PCR法 → SSCP法
保因者診断、出生前診断も行なわれている。

治療:

[実施されている治療法]
副腎皮質ステロイドは一時の筋力、ADLの改善をもたらす。
呼吸不全や心不全の管理、血栓症の予防、リハビリテーション、側彎症の予防と治療、療育指導などトータルなケアにより寿命の延長とQOLの改善がはかられる。
[研究開発中の治療]
ナンセンス変異のストップコドン読みとばし(マクロライド系抗生物質、PTC124)
エクソンスキッピング(モルフォリーノアンチセンスオリゴヌクレオチド)
ウィルスベクターを用いたジストロフィンのミニ遺伝子の導入
細胞移植
マイオスタチンの抑制

肢帯型筋ジストロフィー

Limb-girdle muscular dystrophy

下記の特徴をもつ疾患群の総称。
常染色体優性(LGMD1)あるいは劣性遺伝(LGMD2)。
四肢近位筋と四肢帯の筋萎縮、筋力低下を示す。
他の特徴ある型に分類できない。
疾患単位の数は遺伝子座の確立とともに増加している。
肢帯型筋ジストロフィーの分類

LGMD1Dは最近コードが確定した。まだ若干の文献について1Dと1Eが逆になるなど混乱がある。
EDMDAD: autosomal dominant type Emery-Dreifuss muscular dystrophy CMD: cardiomyopathy, dilated MM: Miyoshi myopathy TRIM32: Tripartite motif-containing protein 32 FKRP: fukutin related protein POMT1  protein o-mannosyl transferase 1 WWS: Walker Warburg syndrome FCMD: Fukuyama congenital muscular dystrophy

先天性筋ジストロフィー

congenital muscular dystrophy

乳児期の発症、運動発達の遅れ、進行性の経過。
福山型先天性筋ジストロフィー Fukuyama congenital muscular dystrophy
常染色体劣性遺伝。遺伝子座 9q31-q33
原因遺伝子産物 fukutin、 461アミノ酸、
Golgi装置の蛋白と局在が同じ(分泌顆粒として細胞外に分泌されるらしい) 
日本に多い。
乳児期の発症(floppy infant)。通常歩行を獲得しない。
高度の知能障害。脳波異常とけいれん発作。中枢神経奇形(小多脳回)。
高度の顔面筋の障害。
血清CKは1000IU/l以上.

福山型先天性筋ジストロフィーの前頭葉にみられる小多脳回
非福山型先天性筋ジストロフィー
1)メロシン欠損型
常染色体劣性遺伝 遺伝子座 6q2
遺伝子産物 merosin=laminin a2 chain 細胞膜に存在 生検筋の免疫組織化学で診断可能
floppy infantで発育発達の遅れあり、通常歩行を獲得せず。
顔面筋の障害、高口蓋。
軽度の知能発達の遅れ。頭部MRIで白質のT2高信号病変。
2)メロシン陽性型 多数の疾患が含まれれている

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

Facio-scapulo-humeral muscular dystrophy

常染色体優性遺伝。遺伝子座 4q35。遺伝子産物不明。発症機序不明。

特徴的な筋障害の分布(顔面筋、肩甲帯、上腕に強い)を示す。
左右差と個人差がめだつ。時に高度の脊柱前彎。
筋生検で筋線維の壊死、再生像に加えて、小角化線維、炎症細胞浸潤を伴うことあり。
一般に生命予後は良好であるが、中年以後、徐々に呼吸筋障害をきたすことあり。

眼筋咽頭型筋ジストロフィー

Oculopharyngeal muscular dystrophy

常染色体優性遺伝(一部劣性遺伝)。遺伝子座 14q11.2-q13。
原因 poly-adenylate binding protein nuclear 1 (PABPN1)のGCN反復回数の延長の結果ポリアラニンの蛋白が核内に凝集。1アレルの反復回数が8回以上(常染色体優性遺伝)、あるいは2アレルの反復回数が7回(常染色体劣性遺伝)で発症。
40歳代以後の発症。眼瞼下垂、眼球運動障害、舌咽頭筋麻痺が強い。四肢筋も近位優位に障害される。

エメリー・ドレイフス型筋ジストロフィー

Emery-Dreifuss muscular dystorphy

伴性劣性遺伝 遺伝子座Xq28 遺伝子産物 emerin 局在 核内膜
常染色体優性遺伝 遺伝子座 1q11-23 遺伝子産物 lamin A/C 局在 核内膜
1)病初期より認めらる、後頚部、肘の拘縮、尖足 
2)緩徐進行性の肩甲、上腕、下腿の筋萎縮、筋力低下、
3)心伝導障害
を特徴とする。

三好型遠位型筋ジストロフィー

常染色体劣性遺伝 遺伝子座 遺伝子産物 dysferlin。LGMD2Bと同じ遺伝子の異常。
発症10-20歳台。
下腿特に腓腹部の障害がめだつが、進行すると近位筋も障害される。
CK1000IU/l以上。

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