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院長ご挨拶





2018年1月
(平成30年1月)


新年あけましておめでとうございます。




 昨年は、東埼玉病院が地域とつながって仕事を行っていくための、一歩を踏み出す年になりました。ソフト的には、平成24年度に当院がモデルとして受託した在宅医療推進事業が、蓮田市・白岡市・宮代町の事業として展開し、平成30年度から南埼玉郡市医師会に委託される在宅医療推進事業を、2市1町に関しては当院がサポートし実施することになりました。そして、残念ながら樹木を伐採せざるを得なかったのですが、ハード的には当院敷地内を通る蓮田市道の工事が始まりました。今年は、これらの事業をより具体化していく年になります。


 医療全体に目を向けると、今年は病院にとって、3つの大きな問題と同時に向き合わねばならないと考えています。一つ目は、今年に限ったことではありませんが、当院が行ってきた慢性期をはじめとする専門医療の複雑化・高度化です。近年の変化のスピードは急性期医療以上ではないかと感じています。そして、難病や在宅医療など社会と深くかかわって仕事をする必要もあります。第二には、職員の働き方改革を求められる可能性です。特に交代制勤務ではない医師や事務方、メディカル・スタッフの時間外労働に関しては、さらに厳しく管理することが求められてきます。5年後には、これまでのように患者さんのためならいつでも働くということが許されなくなる可能性があります。最後には、4月からの医療・介護報酬の改定です。国民の高齢化とそれに伴う医療費の増加、相対的な労働人口の減少による税収の減少により、業務費の上昇に比して診療報酬が大きく上積みされることはない状況です。この3つをまとめると、複雑化・高度化した患者さんの医療・看護・療育を適正に行う必要があるが、職員には長時間労働はさせずに、経営は工夫して頑張ってやりなさいというのが現状です。一般の企業では会社の意思で仕事を調節することはある程度可能かもしれませんが、当院では患者さんが相手の上に、その医療はより手がかかるようになっていることから、仕事量を減らせるわけではありません。


 当院は、長年にわたり民間病院では行えない(経営戦略上行わない)セーフティネット系の政策医療(神経筋疾患、結核、HIV感染症、重症心身障害児・者の医療)を行ってきました。また、それを支える、回復期リハビリテーション、在宅医療やリウマチ膠原病、呼吸器内科・外科などの専門医療に特化して仕事をしてきました。これらの診療を継続することは当院の存続のためには本質的なものと考えています。ただ、今まで通りに仕事をしていては、この医療は続けられなくなることも現実問題となってきました。「変わらないためには、変わらなければいけない(川井充前院長)」という言葉が未来のものではなくなっています。当院が診るべき患者さんにどのようにきちんと受診してもらって、行うべき診療・看護・療育をしていくかをさらに真剣に考えないと、地域や社会から必要ではないと判断されてしまう可能性すらあるとも認識しています。


 その根本になるのが、医療の質の維持であると考えています。とくに当院のような病院では、モラルを保つことが医療の質に深くかかわってきます。医療・看護・療育の仕事は複雑化・多様化して日常の業務に振り回されることが多くなり、医療の質やモラルを保つことは容易ではありませんが、職場全体が高いモラルと誇りを持って仕事して欲しいと職員には繰り返し伝えていくつもりです。それでも個人の努力のみでは限界があり、病院全体でチーム医療をより進めることが問題解決の方向であるとも考えています。さらに、患者さんや家族のみなさんのご理解やご協力も、医療機関には必要です。是非、良い医療・看護・療育が提供できるよう皆さんと一緒に進んでいければと思います。


 今年もよろしくお願いいたします。


東埼玉病院 院長
正田 良介

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